海洋保全や海洋汚染の現状・対策についての備忘録

自分の勉強と備忘録を兼ねて、海洋汚染・海洋汚染に関してのブログを始めることにした、関西圏で暮らす32歳です。 プラスチック製品メーカー様をお客様にしていて、海外とのやり取りをしているため、英語が得意です。 自分の関わるプラスチックの業界が海洋汚染に大きく影響していることを知って、更には自分の大好きな海鮮や日本酒にも影響があるらしいと聞いてブログを立ち上げました。 基本的に海洋保全や海洋汚染の現状、対策、企業や個人の活動について調べて書いていきます。

    海洋保全や海洋汚染の現状について学び、対策についても勉強するブログです。プラスチックごみがもたらす影響などの話題が多いかも。

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    トップページ海洋保全 海洋汚染対策

    海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

    今回は、海洋汚染対策に関連した国際デーである『世界環境デー(環境の日 World Environment Day)』と、それにちなんだイベントについて取り上げていきます。

    ■この記事のまとめ
    ・毎年6月5日は、世界規模の環境問題に取り組むために国連が定めた『世界環境デー(環境の日 World Environment Day)』。

    ・日本でも法律で制定されており、さらに6月を『環境月間』として、色々なイベントが開催される。

    ・東京・青山で開催されている『“名画になった”海 展』は『「プラスチックゴミの量が魚の量を超える」と言われている2050年の海を巨匠が描いたらどうなるか』や『マイクロプラスチックが舞うスノードーム「MicroplasticGlobe(スノードームになった未来の海)」』などのユニークなテーマを通して海洋プラスチックごみの問題への意識を高める試み。

    ・フェムテック(テクノロジーで女性を助ける)企業である『インテグロ』は、『Integro Eco-Friendly Period Month(インテグロ エコフレンドリー ピリオド マンス)』というキャンペーンを実施。『ごみを拾う:ビーチクリーンに参加しよう』と『ごみを出さない:エコな生理ケアをはじめよう』という2つのテーマで、女性のライフスタイルへのサポートと海や自然を守る活動の両方に取り組むイベントを開催している。


    海洋保全と関連する、世界環境デーのイメージ

    ■毎年6月5日は『世界環境デー(環境の日 World Environment Day)』。日本では環境月間である6月にイベントが多数開催。

    国連が世界規模の環境問題に取り組むために1972年の国連人間環境会議(ストックホルム会議)を記念して定めたのが、国際デーである『世界環境デー(World Environment Day)』です。

    ちなみに2022年のテーマは『「Only One Earth」“かけがえのない地球”』とのこと。

    実はこの『世界環境デー(World Environment Day)』を定めることを提案したのは日本で、日本の法律でも6月5日は『環境の日』として定められていて、更に6月を『環境月間』として、自然環境のほどについて考えるきっかけとなるようにイベント等の開催を促しています。

    実際に様々な企業や団体が主催したイベントが日本各地で既に行われています。

    そこで今回はそんな中から、個人的に気になったイベントとして『“名画になった”海 展』と『Integro Eco-Friendly Period Month(インテグロ エコフレンドリー ピリオド マンス)』をご紹介します。


    ■このままごみが増えていくとどんな海になるのかをイメージさせるテーマの東京・青山のイベント『“名画になった”海 展』

    まず取り上げるのは東京・青山で開催されている『“名画になった”海 展』です。

    会場となっているのは『ITOCHU SDGs STUDIO』という大手商社『伊藤忠商事』が運営している施設で、『伊藤忠商事』SDGsの達成に注力していることがわかりますね。

    この『“名画になった”海 展』では、海洋プラスチックごみで溢れた海をイメージ出来るように、海を描いた過去の名画をAIを使ってアレンジしています。

    もし葛飾北斎やゴッホが描いた海が、海洋プラスチックごみに溢れていたらこうなる、といった形です。
    海の美しさを守ることの重要性を認識して、海洋プラスチックごみの解決に向けて行動するきっかけを作るのが目的だと思います。

    海洋プラスチックごみ問題が深刻化した海を葛飾北斎が描いたら
    出典:ロボスタより


    海洋プラスチック問題が深刻な海をゴッホが描いたら
    出典:ロボスタより

    他にも、マイクロプラスチックが漂う海を生きる海洋生物をイメージしやすいように、スノードームを使って表現した『マイクロプラスチックが舞うスノードーム「MicroplasticGlobe(スノードームになった未来の海)」』の展示もあるとのこと。

    入場料は無料らしいので、関東圏の方は気軽に行ってみてはいかがでしょうか。
    むしろ誰か僕の代わりに行って、感想を教えてください笑


    ■概要
    主催:株式会社 横浜八景島
    期間:2022年5月31日(火)~2022年7月18日(月・祝)
    会場:ITOCHU SDGs STUDIO
    (東京都港区北青山2-3-1 Itochu Garden B1F)
    開催時間:11:00~18:00
    休館日:毎週月曜日、月曜日が休日の場合、翌営業日が休館
    料金:入館料無料



    ■フェムテック企業『インテグロ』の女性と海を大切にしようという取り組み『Integro Eco-Friendly Period Month(インテグロ エコフレンドリー ピリオド マンス)』

    次に紹介するのは、女性の健康問題の解決にテクノロジーで取り組むフェムテック企業『インテグロ』の『Integro Eco-Friendly Period Month(インテグロ・エコフレンドリー・ピリオド・マンス)』という取り組みです。

    この取り組みでは『ごみを拾う:ビーチクリーンに参加しよう』と『ごみを出さない:エコな生理ケアをはじめよう』という2つのテーマを掲げています。

    『ごみを拾う:ビーチクリーンに参加しよう』は神奈川で開催されている一般的なごみ拾いイベントなのですが、『ごみを出さない:エコな生理ケアをはじめよう』というテーマはかなり珍しくて、おもしろい試みです。

    実は月経カップや吸水ショーツは、洗って繰り返し使うことで、長くて10年も継続して使うことが出来るらしく、その間はごみを出さずに済むそうです。

    もちろん、使い捨てのほうが良いって意見もありそうですが、試しに使ってみようって方もいるかも?
    『ごみを出さない:エコな生理ケアをはじめよう』では、月経カップや吸水ショーツを通常の最大20%オフで販売することで、初めてエコな生理用品を使う方の後押しをしています。

    環境問題に絡めたセールというのは珍しいものではありませんが、フェムテック企業のこういった視点での取り組みは珍しいと思うので、一度興味本位で覗いてみてはいかがでしょうか。


    ■期間
    2022年5月30日(月)20時00分〜2022年6月30日(木)23時59分まで

    ■対象商品
    ・月経カップ「エヴァカップ」「スーパージェニー」「ディーバカップ」
    ・月経カップ洗浄剤「ディーバウォッシュ」
    ・吸水ショーツ「エヴァウェア」「エヴァウェアコットン」
    ・サニタリーショーツ「ステインフリー」

    ■販売サイト


    ■最後に

    今回は『世界環境デー(環境の日 World Environment Day)』と、関連するイベントについて書きました。
    これから海でのレジャーも活発になっていく季節なので、今のうちに子供と一緒にこういったイベントやキャンペーンに参加しておいて、夏本番に海に行った際には自然を守る意識を一緒に育むのも良いかもしれないですね。

    他にもおもしろそうなイベント等があったらまた取り上げようと思います。


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    海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

    今回は『株式会社キラックス』が海洋保全のために取り組む、海洋生分解性プラスチックのレジ袋について取り上げていきます。


    ■この記事のまとめ
    ・生分解性プラスチックは、自然の中で微生物などによって速やかに分解される、従来の化石由来原料で作られたプラスチックの代わりとして研究されている素材のこと。
    ・生分解性プラスチックの中でも、海洋汚染対策・海洋プラスチック問題対策のためには、海洋で分解される生分解性プラスチック=海洋生分解性プラスチックが有効。
    ・2021年に大分県中津市のスーパーで、海洋生分解性プラスチックで作ったレジ袋が日本で初めて導入された。
    ・海洋生分解性プラスチックのレジ袋を製造したのが『株式会社キラックス』で、今後全国に普及していけば、海洋プラスチック問題対策の大きな前進に繋がる。



    海洋保全のための海洋分解性プラスチックのレジ袋のイメージ画像


    ■生分解性プラスチックの中でも海洋汚染対策に有効な、海洋生分解性プラスチック

    先日の記事でも取り上げた通り、環境汚染対策として生分解性プラスチックが注目を集めています。

    生分解性プラスチックとは、従来の化石由来原料で作られたプラスチックの代替として期待されている素材のことです。

    これまでのプラスチックが長期間自然に還らずに海等に残ってしまっていたのに対して、生分解性プラスチックは自然の中で微生物や細菌、バクテリア等によって速やかに分解されて自然に還るため、ごみとして投棄されたとしても、自然環境への影響を抑えられると考えられています。

    しかし、生分解性プラスチックの記事でも触れた通り、生分解性プラスチックにもいくつかの種類があり、それぞれの分解されやすい環境や条件があるため、海洋で分解されにくい種類もあります。

    そんな中、海洋で分解されやすいプラスチック=海洋生分解性プラスチックで作られたレジ袋が2021年に日本で初めてスーパーに導入されたということで話題になっています。



    ■海洋生分解性プラスチックのレジ袋が2021年に日本で初めてスーパーに導入され、今後の普及が期待される

    日本で初めて海洋生分解性プラスチックのレジ袋が導入されたのは大分県中津市にあるスーパーで、2021年4月から導入されました。

    海洋生分解性プラスチックの重要性は2005年の愛・地球博以降、話題には上っていましたが、なかなか実用化に至らなかった経緯があります。

    このレジ袋を製造したのは『株式会社キラックス』という企業で、使われた素材はBioPBS™(バイオPBS)と呼ばれる樹脂です。
    原料としてはトウモロコシ等の植物由来の原料が使われ、海洋での分解具合を調べる実験では、なんと1年間で90%分解されたとのこと。

    このPBS(ポリブチレンサクシネート)という素材は耐熱性に優れているようなので、今後も多方面で使われれば、レジ袋を海洋生物が誤飲する事故等の減少が期待できますね。

    今後の課題としては製造コストが高いことと、分解されやすいという性質から長期保存しにくいという点があるとのこと。

    保存性については生分解性プラスチックが分解されるタイミングをコントロールする研究が進んでいるようなので、どんどん進化して普及していくのが楽しみです!

    ■最後に

    今回は『株式会社キラックス』が取り組む、海洋生分解性プラスチックのレジ袋について取り上げました。
    日本全国のスーパーでこのレジ袋が普及していけば、海洋プラスチック問題・海洋汚染問題の改善への大きな一歩になりそうですね。

    今後も期待してニュースを追いかけていきますし、スーパーで見かけたら多少高くてもこのレジ袋を選ぼうと思います。

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    海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

    今回は、海洋汚染対策として世界的スポーツ用品メーカー『adidas(アディダス)』が2022年5月23日から行っている、「10分走るごとにペットボトル1本分のごみを回収する」という取り組み『RUN FOR THE OCEANS(ラン・フォー・ジ・オーシャンズ)』について取り上げていきます。


    ■この記事のまとめ
    ・海洋プラスチック問題対策として『adidas(アディダス)』が海洋環境保護団体『PARLEY FOR THE OCEANS(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)』とコラボして2017年から継続して取り組んでいるのが、スポーツを通して環境意識を高めるキャンペーン『RUN FOR THE OCEANS(ラン・フォー・ジ・オーシャンズ)』。
    ・毎年キャンペーン内容は違うが、2022年は「参加者が10分走るごとに、ペットボトル1本分のごみを海から回収する」という内容。
    ・2022年は5月23日から6月8日までの開催。
    ・新しい形のボランティアや寄付の形とも言えるため、今後も同様のキャンペーンには注目していく。


    海洋保全のために企画に参加して走るイメージ画像


    ■『adidas』が『PARLEY FOR THE OCEANS』とコラボして取り組む海洋保全キャンペーン『RUN FOR THE OCEANS』

    以前の記事でも繰り返し触れてきたように、海洋プラスチック問題は海洋保全について考える際に大変重要な問題で、多くの企業や団体は解決のために様々な取り組みを行っています。

    そんな海洋プラスチック問題対策に取り組む企業の中でも、かなり積極的に色んなキャンペーンを打ち出しているのが、スポーツ用品業界で世界最大規模の企業である『adidas(アディダス)』です。

    『adidas(アディダス)』が海洋環境保護団体『PARLEY FOR THE OCEANS(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)』とコラボして、スポーツを通して環境意識を高めるキャンペーン『RUN FOR THE OCEANS(ラン・フォー・ジ・オーシャンズ)』に2017年から継続して取り組んでいます。





    ■2022年のキャンペーンでは、参加者が10分走るごとに『adidas』がペットボトル1本分のごみを海から回収

    『RUN FOR THE OCEANS(ラン・フォー・ジ・オーシャンズ)』は毎年キャンペーン内容が違うのですが、2022年は「参加者が10分走るごとに、ペットボトル1本分のごみを海から回収する」という内容だそうです。

    参加者が『アディダス ランニングアプリ』や『Strava(ストラバ)』等のアプリを通じてキャンペーン登録をすることで、アプリが計測した走行時間に応じて、『adidas(アディダス)』と『PARLEY FOR THE OCEANS(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)』が海からごみを回収するとのこと。

    これまでは走行距離を指標としていたそうですが、今回からは走行時間を指標にしたことで、ランニング等の直接的に走ることをメインとしたスポーツ以外のアスリートも参加しやすくなっています。

    『adidas(アディダス)』もより幅広い層が参加できるようと考えているようです。

    実際に今回の『RUN FOR THE OCEANS(ラン・フォー・ジ・オーシャンズ)』のために「「Impossible Is Nothing」(「不可能」なんて、ありえない。)」をテーマに制作されたキャンペーンフィルムでは、ショーナ・ミラー=ウイボ(陸上競技)、ドミニク・ティエム(テニス)、カーリー・クロス(モデル)、ペドリ(サッカー)、ニーナ・シュルツ(陸上競技)といった、様々な分野の有名人を起用していてます。




    普段から何かしらのスポーツをされている方は、ご自身の習慣が自然環境を守ることに繋がるので、積極的に参加してみても良いと思います。

    2022年は5月23日から6月8日まで開催されるそうなので、参加される場合はお早めに登録しましょう。


    ■最後に

    今回は『adidas(アディダス)』が海洋環境保護団体『PARLEY FOR THE OCEANS(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)』とコラボして取り組む『RUN FOR THE OCEANS(ラン・フォー・ジ・オーシャンズ)』について書きました。

    この取り組みは『adidas(アディダス)』にとって、「自然保護に向けて頑張っている」というイメージアップ戦略と、「自然保護に熱心な顧客」を獲得するという広告戦略が絡み合った取り組みなのかなと個人的には思っています。

    いくら「自然環境を守る!」って言っても、やはり利益が無いと企業は動けないですし、無償奉仕は長続きしません。

    なので、こういったボランティアや寄付の形で企業が上手い具合に広告と自然環境保全のCSR(企業の社会的責任)活動を行ってくれるのはありがたいなって思いますし、今後もこういった取り組みには期待したいですね。

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    海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

    今回取り上げるのはスウェーデンの大学等の研究機関が発表した「プラスチックを分解出来る細菌」についてです。


    ■この記事のまとめ
    ・海洋プラスチック問題の解決は、海洋保全のために不可欠と言われるほど重要視されている。
    ・海洋プラスチック問題の解決のために生分解性プラスチックが注目されているが、逆にプラスチックを分解する細菌の存在がスウェーデンのチャルマース工科大学等の研究として発表された。
    ・この研究では、海洋で1万2千種、土壌では1万8千種にも上る新たな細菌が発見された。
    ・現在は分解の仕組みなどは解明出来ていないため、今後の研究に期待される。


    海洋プラスチック問題を解決する細菌のイメージ画像


    ■海洋プラスチック問題の解決のために有望視される、プラスチックを分解出来る細菌を発見

    このブログでは海洋汚染対策と海洋プラスチック問題の関わりについて繰り返し書いていますし、前回の記事では自然環境で分解されるプラスチック(=生分解性プラスチック)について書きました。

    今回は生分解性プラスチックの考え方とは逆に、現在既に流通し使用されているプラスチックを分解することが出来る細菌が発見されたという話題について書いていきます。

    従来、プラスチックは耐久性に優れるという利点があり、その利点が逆に、ごみとしても海の中で長期間分解されずに残るという欠点になっています。

    にも関わらず、自然界でプラスチックを分解出来る細菌・微生物が発見されたというのは大きなニュースです。


    ■今後は仕組みを解明し、特定のプラスチックを分解出来る細菌を作り出してプラスチックごみ問題の解決へ

    今回取り上げているプラスチックを分解出来る細菌・微生物についての研究は2021年10月にスウェーデンのチャルマース工科大学という大学の研究チームが発表したそうですが、実はプラスチックを分解するバクテリア自体は2016年には発見されていたみたいです。

    しかし今回の研究成果の凄いところは、発見した新たな細菌の種類。
    なんと海洋では1万2千種類、土壌では1万8千種類もの「プラスチックを分解する細菌」を発見したとのこと。

    しかもその細菌のうち60%近くは既存の分類方式では分類出来ない種にあたり、その細菌がプラスチックを分解する方法も、これまでに人間が発見してきた方法ではない可能性が高いというのですから驚きです。

    今後はこの細菌を研究し、特定のプラスチックを分解出来る細菌を作り出す研究に進んでいくようなので、今後の研究成果に期待が高まりますね。

    ■最後に

    今回はプラスチックを分解する細菌・微生物の発見について書きました。

    こういったニュースを見ると、まだまだ世界には人には理解出来ていないことが多くあるんだと思って、年甲斐もなく少しワクワクしました。

    こういった研究は今後もどんどん進んでいくと思うので、また具体的な研究成果が発表されるのを期待したいですね。

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    海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

    今回は、海洋プラスチック問題の解決策としての生分解性プラスチックへの期待と誤解について取り上げていきます。


    ■この記事のまとめ
    ・海洋プラスチック問題の解決は、海洋保全のために不可欠と言われるほど重要視されている。
    ・海洋プラスチック問題の解決のために注目されているのが、自然環境で分解されるためごみとして残らない生分解性プラスチック。
    ・ただ、全ての生分解性プラスチックがどんな環境下でも速やかに分解されるわけではなく、生分解性プラスチックの種類ごとに分解してくれる微生物も異なる。
    ・素材としての耐久性や、速やかに分解しなくとも緩やかに分解していくことから扱いが難しいのが生分解性プラスチックの特徴だが、使用する際に分解を開始するタイミングを指定できるようにする研究などが進んでおり、今後に期待される。


    海洋プラスチック問題対策として期待される生分解性プラスチック


    ■生分解性プラスチックは海洋プラスチック問題(海洋汚染問題)の解決策として期待されている

    これまでの記事でも書いてきたように、海洋汚染対策は海洋プラスチック問題とは切っても切れないほど強い関連性があります。

    そのため、海洋プラスチック問題の解決のために、様々な解決策が提案されていて、その中でも生分解性プラスチック関連の研究は、かなり期待の大きい分野です。

    生分解性プラスチックとは、つまりは自然環境の中で微生物等によって分解されるプラスチックのこと。
    以前の記事で取り上げた、寒天等を使った緩衝材も、生分解性プラスチックに近い取り組みですね。

    この生分解性プラスチックを活用すれば、プラスチックの欠片が海を長期間漂流することが問題になっている海洋プラスチック問題・マイクロプラスチック問題の解決に繋がると考えられており、大きな注目を集めています。



    ■生分解性プラスチックは万能ではなく、種類ごとに分解される環境や微生物が違う

    生分解性プラスチックを全てのプラスチックと置き換えれば、海洋プラスチック問題は解決する」と誤解されている方も中にはいらっしゃいますが、実はそう簡単な問題ではありません。

    ひとくちに生分解性プラスチックと言っても、速やかに分解されるための環境は種類ごとに様々で、分解されやすい微生物の種類・密度があります

    しかし、プラスチックが使われる環境は、地中・地表・水中・高温・低温・湿地・乾燥地など、あまりにも多種多様です。

    そのため、全てのプラスチックを単一の生分解性プラスチックで置き換えてしまうと、うまく分解されず、結局海洋プラスチック問題の解決にならないケースが出てくると考えられています。

    また生分解性プラスチックは、使用せずに保存している期間にも緩やかに分解されていくケースが多いです。
    そのため長期間の使用に向かないことも課題として挙げられますし、従来のプラスチックと比べると耐久性で劣るとも言われています。





    ■生分解開始スイッチを持つ海洋生分解性プラスチック等、課題を解決する試みが進んでいる

    まだまだ課題の多い生分解性プラスチックですが、その課題の解決のための試みもどんどん行われています。

    例えば2021年に発表された群馬大学、東京大学、東京工業大学、理化学研究所、海洋研究開発機構等が関わる粕谷 健一さんのプロジェクトでは、生分解性プラスチックが分解されるタイミングをコントロールするスイッチ機能を付与した海洋生分解性プラスチックを開発しようと研究しているそうです。

    この研究が実れば、海で分解されずに残ってしまう生分解性プラスチックを減らしたり、長期保存中に勝手に分解されてしまうという生分解性プラスチックの不便さが改善されることに繋がるため、研究成果が期待されますね。




    ■最後に

    まだまだ課題が多いとは言え、生分解性プラスチックは海洋プラスチック問題の解決に大きく貢献することは間違いないと思います。
    今後も様々な機関の研究にも注目して、自分の生活の中でも積極的に生分解性プラスチックの商品を使っていきます。

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    今回は、海洋汚染対策・環境汚染対策に取り組む企業として、ヴィーガンレザーの活用を初めとした地球に優しい素材の活用大手アパレルブランド『H&M(エイチアンドエム)』が5月12日に発売した『Innovation Stories(イノベーション・ストーリーズ)』の第5弾『Cherish Waste Story Collection(チェリッシュ・ウェイスト・ストーリー・コレクション)』について取り上げていきます。


    ■この記事のまとめ
    ・『H&M(エイチアンドエム)』はサステナビリティのための取り組みとして『Innovation Stories(イノベーション・ストーリーズ)』というキャンペーンを実施している。
    ・『Innovation Stories(イノベーション・ストーリーズ)』の第5弾『Cherish Waste Story Collection(チェリッシュ・ウェイスト・ストーリー・コレクション)』では植物性素材100%のヴィーガンレザーを使用するなど、素材やデザインを通して自然を大切にすることを訴えかけている。
    ・不要になった場合でも服を捨てるのではなく譲ることを想定し、メッセージを書き込めるラベルを裏地に用意することで、リユースを促している。


    海洋保全のための取り組みとしてのヴィーガンレザーのイメージ画像



    ■『H&M(エイチアンドエム)』が100%植物由来のヴィーガンレザーやリサイクル素材のみでコレクションを展開

    世界を代表するファストファッションブランド『H&M(エイチアンドエム)』は、革新的な素材や技術・製造工程にスポットを当てた『Innovation Stories(イノベーション・ストーリーズ)』というキャンペーンを2021年から展開しています。

    その第5弾である『Cherish Waste Story Collection(チェリッシュ・ウェイスト・ストーリー・コレクション)』では、特に環境保全・海洋保全を考えた素材を採用しているようです。

    コレクション内容としては、植物性の繊維や油等を使うことで石油由来の素材を一切排除したヴィーガンレザー『MIRUM®』や、ごみとして捨てられるはずだった廃棄プラスチックから作った繊維、空気と温室効果ガス内の炭素を海洋微生物を用いて変化させた生分解性プラスチック『AIRCARBON』等、自然に配慮した素材を採用しつつ、目を引くデザインの服が並んでいます。




    ■素材やデザインで環境保全・海洋保全を訴えるだけでなく、リユースを促す仕組みも用意

    そんな『H&M(エイチアンドエム)』のキャンペーン『Cherish Waste Story Collection(チェリッシュ・ウェイスト・ストーリー・コレクション)』で、個人的に良いなと思ったのが、服の裏地に仕込まれたメッセージ用のラベルです。

    洗濯用のタグのようについたこのラベルは、購入した人が服を着なくなっても捨てることなく、誰かに譲ることを促すための仕組みとのこと。

    服をリサイクル素材で作ることも海洋保全には勿論効果的ですが、リユース(再利用)を促すこういった取り組みが、何だか人の繋がりを表現している気がして印象的でした。



    ■最後に

    今回は世界的ファストファッションブランド『H&M(エイチアンドエム)』のキャンペーン『Innovation Stories(イノベーション・ストーリーズ)』第5弾である『Cherish Waste Story Collection(チェリッシュ・ウェイスト・ストーリー・コレクション)』について取り上げました。

    アパレル業界、特にファストファッションの業界は、服を製造する際に多くの水を必要としたり、服の買い替えで資源を多く使うなど、まだまだ環境汚染・海洋汚染への影響が大きい分野です。

    だからこそ、今後もアパレルメーカーの取り組みには、より一層注目していこうと思いますし、個人的にも、自分の服のリサイクルに積極的に取り組んでいきます。

    まずは新品の服だけじゃなく、メルカリやセカンドストリートで中古の服を選択肢に入れるところから始めましょうかね。

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    海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

    今回は日本を代表する大企業である、大手飲料メーカー『サントリー(SUNTORY)』の海洋汚染対策として「ボトルtoボトルの水平リサイクル」での化石由来原料の使用量ゼロを目指す取り組みについて取り上げていきます。

    ■この記事のまとめ
    ・『サントリー(SUNTORY)』は日本を代表する飲料メーカー。
    ・『サントリー(SUNTORY)』は2005年からは「水と生きる」というテーマを掲げ、2017年には『水理念』として『水循環を知る』『大切に使う』『水源を守る』『地域社会と共に取組む』の4つを掲げており、具体的な活動として、『水の3R(Reduce/Reuse/Recycle)』にも取り組んでいる。
    ・『サントリー(SUNTORY)』が5月9日から開始したのが、「ボトルtoボトルの水平リサイクル」で、これは飲料用ペットボトルのごみを原料としてリサイクルし、飲料用ペットボトルを作るという取り組み。
    ・「ボトルtoボトル」は、人の口に入るものを入れる容器をリサイクル原料で作るという点で安全性を担保するのが課題だったが、2011年に論文として発表した内容を基礎として研究を進めて実現した。
    ・『サントリー(SUNTORY)』では、グループ全体で使用する全てのペットボトルを2030年までにリサイクル原料or植物由来原料に切り替えることで、新たな化石由来原料を使わないことを目指している。


    海洋プラスチック対策・ペットボトルリサイクルのイメージ画像


    ■大手食品企業として『サントリー(SUNTORY)』は水を大事にしている

    『サントリー(SUNTORY)』は言わずと知れた日本を代表する飲料メーカーです。
    実は『サントリー(SUNTORY)』は、自分たちが飲料を作ることもあって水質汚染対策等にかなり積極的で、2005年からは「水と生きる」というテーマを掲げています。

    2017年には『水理念』として『水循環を知る』『大切に使う』『水源を守る』『地域社会と共に取組む』の4つを掲げ、具体的な活動として『水の3R(Reduce/Reuse/Recycle)』にも取り組んでいるエコ意識の高い企業なのです。

    そんな『サントリー(SUNTORY)』が、2022年5月9日から「ボトルtoボトル」の水平リサイクルで化石由来原料の使用量をゼロにしようという取り組みを開始しました。

    ■『サントリー(SUNTORY)』は「ボトルtoボトル」を進めて化石由来原料の使用量ゼロを目指す

    「ボトルtoボトル」の水平リサイクルとは、つまり「ペットボトルのごみを原料としてペットボトルを作る」というリサイクルです。

    従来のペットボトルは、石油等の資源から作り出した化石由来原料を使ったプラスチックが主な素材。

    しかし、化石由来原料は動植物の遺骸が長い時を経て化学変化した化石由来燃料がもとになるので、使用可能な量に限りがあり、採掘には大きなエネルギーが必要です。

    そのため、化石由来原料を植物由来原料やリサイクル原料で代替が出来ないかという試みがいくつも行われてきました。
    『ユニクロ(UNIQLO)』が飲料用ペットボトルのリサイクル原料で作ったフリース等が代表例ですね。

    ただ、食品を入れる容器をリサイクル素材で作ることについては、安全性の面が大きな課題となって、実現が難しいと言われ続けてきた背景があります。

    『サントリー(SUNTORY)』はこの課題に積極的に取り組み、2011年には「ボトルtoボトル」に関する論文を発表。
    この論文を基にして研究を続けたことで、2022年5月9日の「ボトルtoボトル」の水平リサイクル開始に漕ぎつけたのです。

    『サントリー(SUNTORY)』は今後の展望として、2030年までに『サントリー(SUNTORY)』グループで使用する全てのペットボトルをリサイクル原料または植物由来原料100%に切り替えることと、それによる新たな化石由来原料の使用ゼロの実現を描いています。






    プラスチック由来のペットボトル飲料のイメージ画像

    ■最後に

    今後、『サントリー(SUNTORY)』が掲げるように、化石由来原料の使用量をゼロにしてリサイクル原料と植物由来原料のみで容器を供給できるようになれば、海洋プラスチック問題の悪化は大幅に減速出来ると思います。

    国内外問わず、他の食品メーカーも含めて是非実現してほしいですね。

    『サントリー(SUNTORY)』は新しいことにどんどん取り組んでいる企業なので、今後の動きにも注目していきます。




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    海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

    今回は、プラスチックのリサイクル方式の一つ、サーマルリサイクルについて書いていきます。


    ■この記事のまとめ
    ・海洋汚染の原因としてプラスチックごみ・マイクロプラスチックごみが問題となっている。
    ・海洋保全のためにプラスチックごみを減らす施策がいくつも試されており、リサイクルはその代表的な例。
    ・プラスチックのリサイクルにはケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルの3種類の方式がある。
    ・サーマルリサイクルでは、プラスチックごみを燃料として再利用している。
    ・サーマルリサイクルは、最もシンプルで幅広いごみに対応可能なリサイクル方法だが、有害物質の発生が課題。



    海洋プラスチックを燃やすイメージ


    ■海洋プラスチック問題の対策としてのリサイクル

    このブログでも繰り返しお話していますが、海洋保全に取り組む上で、海洋プラスチック問題は避けては通れません。

    海洋プラスチック問題とは、海へ流れたプラスチックごみが、その耐久性の強さ故に長期間海に残るため、自然に悪影響を及ぼすという問題です。
    詳しくはこちらの記事でも書きましたのでご参照ください。

    この問題を解決するために、プラスチックごみを有効活用することで海への流出量を減らすためのリサイクルを推し進める活動が行政・民間を問わず活発に行われています。

    ■ごみを燃やして燃料として活用するサーマルリサイクル

    プラスチックのリサイクルは、サーマルリサイクル、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルの3つに分類されています。

    今回はこのうち、サーマルリサイクルについて書いていきます。
    それぞれのリサイクル方法について簡単に説明すると

    ・サーマルリサイクル:プラスチックごみを燃焼して、燃料として活用する
    ・ケミカルリサイクル:プラスチックごみを化学的に分解して、原料として製品を作る
    ・マテリアルリサイクル:プラスチックごみを、そのまま素材として製品を作る

    となります。

    マテリアルリサイクルについてはこちらの記事で、ケミカルリサイクルについてはこちらの記事で書いているので、ぜひ読んでみてください。

    ■最も幅広いごみに対応出来るが、有害ガスが発生する点が課題

    3つのリサイクルの中でも、最も幅広いごみに対応出来るのがサーマルリサイクルです。

    シンプルにごみを燃やして燃料とするため、ほとんどごみの種類を問わずにリサイクル出来ます。
    実際に、日本国内のプラスチックごみの半分以上はサーマルリサイクルで処理されているほどです。

    サーマルリサイクルの利点としては、
    ・埋め立てる必要のあるプラスチックごみの量を減らすことが出来る
    ・プラスチックの劣化で発生するメタンガス(温室効果ガス)の排出を減らすことが出来る
    などが挙げられます。

    また、プラスチックごみは燃やした際に発生する熱の量が同量の紙の3倍程度もあるため、サーマルリサイクルに向いているそうです。

    逆にデメリットとしては、燃やす際に発生するダイオキシン等の有害物質が挙げられます。
    有害物質の排出量は技術の進歩によって減ってはいますが、まだまだ完全に無くすことは出来ません。

    燃やすという処理の性質上、どうしても二酸化炭素が発生することもデメリットと言えるでしょう。

    RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel 主に産業廃棄物のうち、マテリアルリサイクルが困難な古紙及びプラスチック類を原料とした高品位の固形燃料)などの技術で有害物質の発生を抑える取り組みも進んでいるため、今後の技術の発展に期待したいところです。




    RPFの例の画像 出典 日本RPF工業会

    ■最後に

    今回はサーマルリサイクルについて書きました。

    今回の炎の画像を探しているときに『鬼滅の刃』の煉獄さんの画像を見たせいで、この記事を書いてる間ずっと「心を燃やせ。プラスチックごみも燃やせ。」ってフレーズが頭の中に浮かんでました笑

    もっとたくさんの人に海洋保全について知っていただきたいと思っているので、今後はこういったネタも含めて、子どもにもわかりやすく伝わるような記事を書いていけたらと思っています。


    これまでと記事の雰囲気が少し変わるかもしれませんが、よろしくお願いします。

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    海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

    今回は、プラスチックのリサイクル方式の一つ、ケミカルリサイクルについて書いていきます。


    ■この記事のまとめ
    ・海洋汚染の原因としてプラスチックごみ・マイクロプラスチックごみが問題となっている。
    ・海洋保全のためにプラスチックごみを減らす施策がいくつも試されており、リサイクルはその代表的な例。
    ・プラスチックのリサイクルにはケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルの3種類の方式がある。
    ・ケミカルリサイクルでは、化学的手法でプラスチックを分解することで、原料として再利用出来るようにする
    ・ケミカルリサイクルでのプラスチックのリサイクルは、幅広い用途に使える可能性がある一方で添加物の処理技術とコストが課題




    海洋保全・海洋汚染対策



    ■海洋汚染の原因であるマイクロプラスチック対策としてのリサイクル

    このブログでも繰り返しお話していますが、海洋汚染の大きな原因の一つとしてプラスチックごみとマイクロプラスチックごみの問題があります。

    プラスチックごみが海へ流れた際、素材の耐久性が仇となって長い間海にごみが残ってしまい、自然への悪影響があるという問題です。
    詳しくはこちらの記事でも書いています。

    そんな問題を解決する方策として、排出されるプラスチックごみの量を減らすリサイクルを推進する動きが、行政・民間を問わず活発です。

    ■ごみを分解することで原料として使いやすくするケミカルリサイクル

    プラスチックのリサイクルは、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルの3つに分類されています。

    今回はこの中から、ケミカルリサイクルについて主に書いていきます。
    それぞれのリサイクルの特徴としては簡単に言うと

    ・ケミカルリサイクル:プラスチックごみを化学的に分解して、原料として製品を作る
    ・マテリアルリサイクル:プラスチックごみを、そのまま素材として製品を作る
    ・サーマルリサイクル:プラスチックごみを燃焼して、燃料として活用する

    と言った感じです。

    マテリアルリサイクルについてはこちらの記事でも書いているので、ぜひご覧になってください。

    ■幅広い用途に使える可能性がある一方、技術面とコストが課題

    3つのリサイクルの中でも、ケミカルリサイクルはプラスチックごみを化学的に分解して活用することから、幅広い用途に活用できるという大きなメリットがあります。

    マテリアルリサイクルの記事ではごみの分別について書きましたが、ケミカルリサイクルではマテリアルリサイクルと比べると、分別されていないごみも処理しやすいのもメリットの一つです。

    リサイクルの過程でごみを分解して分離しやすい形にするため、分別されていないごみにも対応しやすいとのこと。

    ただ、まだまだ技術面に課題があり、コストも高いというデメリットもあります。

    特にプラスチックごみに含まれる添加剤を除去する技術については、まだまだ発展途上な部分も多いです。
    また、マテリアルリサイクルと比べると、分解という過程を経るため、エネルギー消費などが増えるのもデメリットの一つです。

    将来的にはどんなプラスチックごみも、分解して原料に出来る日が来て、プラスチックごみのリサイクル率が100%になる日も来るかも?

    そんな未来を楽しみに待ちたいですね。



    海洋保全・海洋汚染対策

    ■最後に

    今回はケミカルリサイクルについて書いていきました。
    将来的にはどんなプラスチックごみも全て対応出来るようになる日が来るかも知れませんが、今はまだまだ発展途上。
    ケミカルリサイクルの技術の発展を待つより、しっかり自分の家から出るごみの分別をして、マテリアルリサイクルしやすいごみにするように気をつけていきます。

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    海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

    今回は、海洋汚染対策とは切っても切り離せない関係にある海洋プラスチック対策の一つであるマテリアルリサイクルについてと、マテリアルリサイクルのために日常で出来る活動としてゴミの分別について書いていきます。

    ■この記事のまとめ
    ・ネット上の海洋汚染対策の情報は海洋プラスチック問題の対策が大半を占めるほど両者は関係が深い。
    ・リサイクルには大きく3種類あり、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルに分類される。
    ・マテリアルリサイクルは廃棄プラスチックを原材料として再利用するリサイクル。
    ・マテリアルリサイクルのためにはゴミの分別が重要。
    ・ゴミの分別の中でもペットボトルの分別が重要で、キャップだけでなくフィルムもボトル本体と分ける必要がある。


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    ■ネット上では、ほぼ海洋汚染対策=海洋プラスチックごみ対策

    最近忙しくてなかなか更新が出来ていなかったのですが、やっぱりブログを始めたからか日常生活でも海洋保全に関わることに目が行きがちです。

    ただ、ネットで海洋保全・海洋汚染について調べてみると、ほとんどが海洋プラスチック問題への対策について書かれたページばかり。

    基本的には海洋保全のための取り組みとして一個人や一企業で出来ることとしては海洋プラスチック対策がもっとも現実的で効果的なのかもしれません。

    今後のこのブログでも主に海洋プラスチック問題に対する企業や個人の取り組みについて取り上げると思うので、よろしくお願いします。


    ■リサイクルにはマテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル・サーマルリサイクルの3種類がある

    海洋プラスチック対策として、もっとも代表的なのがリサイクルです。このリサイクルですが、実は3種類に分類されるということをご存知でしょうか?

    リサイクルは
    ・マテリアルリサイクル:プラスチックごみを、そのまま素材として製品を作る
    ・ケミカルリサイクル:プラスチックごみを化学的に分解して、原料として製品を作る
    ・サーマルリサイクル:プラスチックごみを燃焼して、燃料として活用する
    の3つに分類されます。

    そして、この中でもプラスチックごみをそのまま原料とするためにエネルギー消費量が少ないマテリアルリサイクルが、最も自然環境への負荷が小さいと言われています。

    ということで今回はマテリアルリサイクルについて書いていきます。


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    ■マテリアルリサイクルにはペットボトルのキャップとフィルムを別で捨てるくらいの分別が大事

    マテリアルリサイクルというのは、廃棄プラスチックをそのまま原料として再利用するリサイクルのこと。

    このリサイクル方法では、ゴミの分別が大変重要。
    理由は、ゴミを素材ごとで分けることで、スムーズに原料として使えるようにするためです。

    「ちゃんとペットボトルのキャップは外して、ゴミの分別をやってるよ」という方も多いと思いますが、マテリアルリサイクルのための分別を考えた場合、実はボトルに巻き付いたフィルムまで剥がす必要があります。

    ペットボトルの本体とフィルムとでは使われているプラスチック素材の割合が違う場合が多く、更には印刷されたインクなどの不純物も多く混じってしまうため、フィルムは外して分別することが重要だそうです。

    ちなみに、ペットボトルの中でもくしゃくしゃに出来るくらい薄い素材のものもありますが、こういったボトルこそフィルムを外して分別するのが大事です。
    機械的にフィルムとボトルを分別する場合、風で吹き飛ばして重さの違いを利用して選り分けるそうですが、薄いボトルの場合は軽いためフィルムと分別するのが大変だと聞いたことがあります。

    こういった細かいところに気を使って、小さなことから海を綺麗にするお手伝いをしていきたいですね。




    ■最後に

    今回はマテリアルリサイクルとペットボトルの分別について書きました。
    こういった日常生活で出来ることについても今後は積極的に取り上げていきます。

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