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海洋汚染の現状や、海洋保全のための施策について、自分の勉強と備忘録も兼ねて発信していく本ブログ。

今回は『株式会社キラックス』が海洋保全のために取り組む、海洋生分解性プラスチックのレジ袋について取り上げていきます。


■この記事のまとめ
・生分解性プラスチックは、自然の中で微生物などによって速やかに分解される、従来の化石由来原料で作られたプラスチックの代わりとして研究されている素材のこと。
・生分解性プラスチックの中でも、海洋汚染対策・海洋プラスチック問題対策のためには、海洋で分解される生分解性プラスチック=海洋生分解性プラスチックが有効。
・2021年に大分県中津市のスーパーで、海洋生分解性プラスチックで作ったレジ袋が日本で初めて導入された。
・海洋生分解性プラスチックのレジ袋を製造したのが『株式会社キラックス』で、今後全国に普及していけば、海洋プラスチック問題対策の大きな前進に繋がる。



海洋保全のための海洋分解性プラスチックのレジ袋のイメージ画像


■生分解性プラスチックの中でも海洋汚染対策に有効な、海洋生分解性プラスチック

先日の記事でも取り上げた通り、環境汚染対策として生分解性プラスチックが注目を集めています。

生分解性プラスチックとは、従来の化石由来原料で作られたプラスチックの代替として期待されている素材のことです。

これまでのプラスチックが長期間自然に還らずに海等に残ってしまっていたのに対して、生分解性プラスチックは自然の中で微生物や細菌、バクテリア等によって速やかに分解されて自然に還るため、ごみとして投棄されたとしても、自然環境への影響を抑えられると考えられています。

しかし、生分解性プラスチックの記事でも触れた通り、生分解性プラスチックにもいくつかの種類があり、それぞれの分解されやすい環境や条件があるため、海洋で分解されにくい種類もあります。

そんな中、海洋で分解されやすいプラスチック=海洋生分解性プラスチックで作られたレジ袋が2021年に日本で初めてスーパーに導入されたということで話題になっています。



■海洋生分解性プラスチックのレジ袋が2021年に日本で初めてスーパーに導入され、今後の普及が期待される

日本で初めて海洋生分解性プラスチックのレジ袋が導入されたのは大分県中津市にあるスーパーで、2021年4月から導入されました。

海洋生分解性プラスチックの重要性は2005年の愛・地球博以降、話題には上っていましたが、なかなか実用化に至らなかった経緯があります。

このレジ袋を製造したのは『株式会社キラックス』という企業で、使われた素材はBioPBS™(バイオPBS)と呼ばれる樹脂です。
原料としてはトウモロコシ等の植物由来の原料が使われ、海洋での分解具合を調べる実験では、なんと1年間で90%分解されたとのこと。

このPBS(ポリブチレンサクシネート)という素材は耐熱性に優れているようなので、今後も多方面で使われれば、レジ袋を海洋生物が誤飲する事故等の減少が期待できますね。

今後の課題としては製造コストが高いことと、分解されやすいという性質から長期保存しにくいという点があるとのこと。

保存性については生分解性プラスチックが分解されるタイミングをコントロールする研究が進んでいるようなので、どんどん進化して普及していくのが楽しみです!

■最後に

今回は『株式会社キラックス』が取り組む、海洋生分解性プラスチックのレジ袋について取り上げました。
日本全国のスーパーでこのレジ袋が普及していけば、海洋プラスチック問題・海洋汚染問題の改善への大きな一歩になりそうですね。

今後も期待してニュースを追いかけていきますし、スーパーで見かけたら多少高くてもこのレジ袋を選ぼうと思います。